試行錯誤を何度も重ねてたどり着いた、素材の極点を引き出すレシピを紹介しています(各種文献を参照して実験しているので必ずしもぼくが発見したわけではありません)。本当に納得がいくものだけを載せているので分野はばらばらです。家庭料理でここまでやる必要性があるのかと聞かれますが、家庭料理を目指しているわけではないし、面白さというのは実用性を超えたところにあるんですよ。
「料理の鉄人」でおなじみの道場先生のYouTubeチャンネルで創作日本料理を作ってきました!!はじめて厨房に入らせていただき道場先生の前で包丁を握るの本当に緊張しました。何十回も試行錯誤を重ねて仕上げた一皿ですが「春がいっぱい」の意図が伝わってうれしかったです。https://t.co/2QVzMvq40J
— Kentaro Hara (@xharaken) June 18, 2023
最初は普通に何か美味しいアレンジ料理でも作ろうと思っていたのですが、せっかくいただいた機会なので尖ったことをやろうと思って、「日本料理としてきちんと成立しつつも新しさを提示する(と自分は考えている)作品」を作って道場先生のコメントをいただけたらと思ってやってきました。
— Kentaro Hara (@xharaken) June 18, 2023
この料理のポイントは3つ
— Kentaro Hara (@xharaken) June 18, 2023
1. フレンチのコンフィの技法を日本料理に再構築する(ハーブ→桜葉、オリーブオイル→太白胡麻油)
2. 58度で火入れしてふわふわの平目に仕上げる(タンパク質は変質するが離水しないぎりぎりを狙う)
3. 醤油もみりんも使わない。塩と砂糖だけで素材の味を迎えにいく。
白独活のすり流しって苦くて美味しくないんです。それをあえて使ってグリーンピースの甘味とぶつけてバランスを取り、桜葉と木の芽の香りでまとめてふわふわな平目を春の苦みと香りいっぱいに包み込む。色彩的には白と緑の二色でまとめて新緑を感じてもらう、そういう構成にしました。
— Kentaro Hara (@xharaken) June 18, 2023
その表現したいことが食べ手に正確に伝わるように素材と技術を選択する作業を何度も繰り返したのですが「これ破綻してるのでは?」という疑念は当日まで消えず。最後に道場先生が「春がいっぱい」「醤油やみりんを入れたら壊れてしまう」とおっしゃってくださり、伝わった!と思って嬉しくなりました。
— Kentaro Hara (@xharaken) June 18, 2023
道場先生が低温調理を気に入ってくださり素人相手に「教わることばかりだね」と収録現場を盛り上げてくださったのですが、僕が平目の低温調理をテーマに選んだのは以前先生がご自身のお店で出されていた「鰆の柔らか煮(低温調理)」を本歌取りしたものだったんです。こんな人になりたいと思いました。 pic.twitter.com/hELbMdQGlU
— Kentaro Hara (@xharaken) June 18, 2023
毎年この季節にバズる「素麺は茹でるな」。田舎そば川原さんが考案された方法で、熱湯に素麺を入れ火を消したまま蓋をして5分蒸らすと1日経ってもくっつかないという衝撃的な裏技。ただ一方で味に関する疑問も出ていて、そのへんを検証したら面白いことがわかってきた。https://t.co/NFRGkzsZN4 pic.twitter.com/OTAS5DIiUU
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
茹でない素麺を作ってまず気づくのは素麺のコシも香りも失われて美味しくはないという点。すぐ食べるのなら普通に茹でた方が確実に美味しい。普通に茹でた素麺(3分)と茹でない素麺(5分)を12時間経過後に比較してみると、前者はくっついて固まってしまうが後者はさらさら。味は前者の方が良い。 pic.twitter.com/cLliFMGL0r
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
疑問:では味とコシを犠牲にすることなくくっつかない素麺は作れないのか?
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
この素麺の標準ゆで時間は3分なんですが、茹でない素麺(5分)の5分が長すぎるのではないかと思い、茹でない素麺(3分)を作ってみたところ12時間経過後にくっつく結果になった。ということはもしかして・・・ pic.twitter.com/zTm1ktjqYb
素麺がくっつくかどうかは「茹でるか茹でないか」ではなく「麺が伸びているかどうか」で決まるのではと思って、長めに茹でて伸びた素麺(5分)を作ってみた。ところが12時間経過後にくっつく結果になった。つまり、くっつかないためには「麺が伸びること」と「茹でないこと」の両方が必要らしい。 pic.twitter.com/resR4qZHAc
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
ここで少し理屈を考えておく。適正茹で時間の麺は表面に水分が多く中心部に少ない状態(アルデンテ)になっていてこれがコシを生み出す。この麺を茹で続けると水分が表面から中心部に内部拡散して水分勾配が減少し、コシが失われ麺が伸びた状態になる。水分を多く吸うので香りも風味も失われる。
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
茹でた麺を放置するとくっつく理由は、麺の表面から溶け出したデンプンが糊状になりそれが冷えて固まるから。
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
以上を踏まえると、「くっつかずに味もコシも保たれる」麺を作るには、標準茹で時間を守り(=伸ばさないため)かつデンプンの溶出を防ぐ(=くっつかせないため)方向を考えればよい。
そこで2つの方法を試した。
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
1. 讃岐うどんを自分で打つとき、湯に酢を入れてPHを酸性側に傾けるとうどんのエッジが美しく立つというテクニックがあるのだが、これはデンプンの溶出が減るかららしい。酢を入れたらどうか。
2. 麺を水洗い→油を回してなじませる→もう一度軽く水洗いしたらどうか。
まず酢の効果について。熱湯1リットルに大さじ1の酢を入れて茹でると、普通に茹でるよりコシが強くなって風味が改善した。これは新たな発見だった。酢の味は水洗いのときに落ちるので残らない。12時間経過後の味も改善したが、茹でない素麺(5分)のさらさら具合にはかなわなかった。 pic.twitter.com/wYX1gvMLK9
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
油の効果について。くっつきを防ぐ効果はあったものの、茹でない素麺(5分)のさらさら具合にはかなわなかった。それと素麺を麺つゆに入れたときに油がつゆに浮いてくるので見た目上の問題が気になった(油の味は気にならなかった、そもそも素麺って製造時に油で延ばしてるので)。 pic.twitter.com/prYZyiPU3s
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
全部のまとめ
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
- 12時間経過後にさらさらを保てるのは茹でない素麺(5分)だけ。ただしコシが失われ美味しくない。
- 12時間経過後のバランスが総合的に良いのは「酢+標準茹で時間」。
- 一番美味しいのは「酢+標準茹で時間」をすぐ食べること。酢の効果でコシが強まって美味しくなる(新たな発見)。 pic.twitter.com/zlL8OzSCHv
補足1:コンビニ麺に付いてる「ほぐし水」について調べてみた。特殊な添加物を使ってるのかと思ったら本当にただの水らしいwww(防腐剤や出汁が足されている場合もある)
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
補足2:茹でない素麺(5分)を食べてて学校給食のソフト麺を思い出した(最近は姿を消してて知らない子どもが多いらしい??)
補足3:「12時間経過しても絶対にくっつかないし伸びない素麺」を最後に紹介しておきます。長芋を桂剥きにして1mm角の麺状に包丁で切ります。昆布で挟んで一晩昆布〆にして冷たい出汁を注いでいただきます。包丁手間はかかりますが本当に美味しいです!!😊 pic.twitter.com/Dx7WLPDLkO
— Kentaro Hara (@xharaken) June 11, 2023
鱧の骨を全部抜いて刺身と寿司にしてみたら旨味が濃厚でめちゃくちゃ美味しい!(◍•ᴗ•◍) 鱧の骨抜きはごく一部の料理人に継承されている技らしいです(「秘伝 鱧料理」という絶版本に解説されてるらしい)。以下はネット上の断片的な情報と試行錯誤に基づく自己流ですがわかりやすく説明します😀 pic.twitter.com/lTSN1RpQul
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
まずは普通に鱧を3枚におろしてください。骨抜きは大きめの鱧の方がやりやすいので500g以上の鱧を選びましょう。(注意:鱧の血液には鰻や穴子と同じくわずかながらイクシオトキシンという毒が含まれています。刺身で食べる程度ではまず問題ないようですが自己責任で 笑) pic.twitter.com/HzwOUjCBC0
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
鱧の骨格構造を理解しましょう。3枚おろしにしたあと普通の魚は血合骨を引っ張って抜けばOKですが、鱧の場合、血合骨と皮下埋没骨がY字型につながっているので、血合骨を引っ張るだけではY字型の骨が抜けないんですよ・・・これが問題。 pic.twitter.com/SoEKzxS0Lc
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
わかりやすくするために、以下のようにP,Q,R,S,P',Q',R',S'の点を振ります。3枚おろしにした鱧の身を触ると血合骨が2列に並んでいるのがわかると思いますが、これがPの列とP'の列に相当します。この数だけY字型の骨が埋まっています(笑) pic.twitter.com/CailnY5jVC
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
残りの点は埋没していて見えませんが「透視」すると以下の図のように埋もれています。骨Q-R-Sは(真横方向に入っているわけではなく)斜めに入っていることに注意してください。これがずらーっと並んでいます。 pic.twitter.com/fmYfdTIWs2
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
さて、Y字型の骨をどう抜くか。形状からして、Pから抜くのは無理で、唯一の解決策はSから抜くことです。そこで図の黄緑色の位置に包丁を入れて身をめくり、骨R-Sを露出させ、Sから引っ張って抜きます。 pic.twitter.com/N2Zj5GDVP1
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
黄緑色の位置に包丁を入れてめくると骨R-Sが斜めに並んでいますね(写真1枚目)。あとは骨抜きでSから丁寧に丁寧に引っ張ると(写真2枚目)きれいなY字型の骨が抜けます(写真3枚目)!包丁の位置を探り当てるにはちょっと慣れが必要です。 pic.twitter.com/J0hbjJjiw6
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
(余談:ちなみに以上の骨格構造がわかると、なぜ鱧の骨切りは「皮一枚残す深さに」やらないといけないかが理解できると思います。骨Q-Rが皮すれすれにあってこれを切らないといけないからです。穴子やウツボもほぼ同じ原理です。)
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
上手にできるとたった2箇所に包丁を入れるだけで骨抜きが完了しますよ〜。理屈がわかると、へんな魚おじさんがYouTubeでやってる鱧の骨抜きがばっちりわかると思います!鱧の刺身はめちゃくちゃ美味しいのでやってみる価値ありです。https://t.co/P691XTuYBI
— Kentaro Hara (@xharaken) August 9, 2020
鱧の骨切りの話。板前さんはあたりまえにやってることだと思いますが、とあるコツが理解できた途端に、食べたときに骨を一切感じさせない骨切りができるようになったので理屈といっしょに解説しておきます😊 pic.twitter.com/XqOqxHXCfg
— Kentaro Hara (@xharaken) August 6, 2022
鱧の骨切りは「一寸に24本、皮一枚を残して包丁を入れる」んですが、この「皮一枚を残す」のが難しい。力を入れると皮が切れるし、力が足りないと皮すれすれの骨を断ち切れない。写真のように、ひっくり返したときに皮目に包丁跡がくっきり透けてて、だけど皮は切れていない、これが成功の状態です。 pic.twitter.com/GNSj8sUFoe
— Kentaro Hara (@xharaken) August 6, 2022
鱧の詳細な骨格構造は以前のツイート(*)を参照していただくことにして、皮を下にして置いた身を真横から見ると、左図のような感じで骨が入っています。皮下埋没骨が皮すれすれまで伸びているので、右図のように「皮一枚残して」骨切りしないといけないんですね。
— Kentaro Hara (@xharaken) August 6, 2022
(*)https://t.co/HCdVe2cDvQ pic.twitter.com/mZIQRmbm4Q
ここでポイントになるのが片刃包丁の刃が鱧の皮に当たる角度です。キレッキレに研いである刃が皮に垂直に当たるとすぐに皮が切れてしまって、これが骨切りの力加減を難しくする最大の要因ですが、(鱧に限らず)魚の皮って刃が斜めに当たるとそう簡単には切れないんですよ。 pic.twitter.com/JxWALaPXj0
— Kentaro Hara (@xharaken) August 6, 2022
結論として「片刃包丁の刃を外側に少し傾けて切ればよい」。これだと鱧切包丁を持ってなくて柳刃包丁でやる場合でも、相当力を入れても皮が破れない。傾ける角度は15度くらいがいい気がしますが慣れるまでは30度くらい傾けてもやりやすいと思います!骨感ゼロのふんわり鱧のできあがり。鱧は奥が深い。 pic.twitter.com/UoSsHy6dGY
— Kentaro Hara (@xharaken) August 6, 2022
生きているウツボを入手したので骨を抜いて薄造りにしてみたら、上質な白身はフグに似て旨味が濃くてめちゃくちゃ美味しかった🙂高知の郷土料理で食べるらしいですね。ウツボの骨抜きは難しく企業秘密になることもあるようで、ネット上に骨格構造の説明が見つからなかったのでわかりやすく解説します。 pic.twitter.com/0iPfF4RTrd
— Kentaro Hara (@xharaken) June 13, 2021
普通の魚は3枚おろしにしたあと血合骨を引っ張って抜けばOKなんですが、ウツボの場合、皮下埋没骨が4箇所に入っていて、驚くことにこの骨は独立していて骨全体が連結してないんですね。よってどこかから引っ張って抜くことは不可能です。この皮下埋没骨が斜め方向に200本ずつくらい入っています。 pic.twitter.com/FTEk3pV0LV
— Kentaro Hara (@xharaken) June 13, 2021
以下のように包丁を入れます。まずPの位置から骨に当たるQの位置まで包丁を入れ、そこから骨に沿ってSまで刃を進めます。P-Q-Sに包丁を入れてめくった状態が3枚目の写真で、皮下埋没骨が斜めに並んでいるのが見えますね。包丁を入れる位置を探り当てるにはちょっと慣れが必要です。 pic.twitter.com/2nGeTaKGdp
— Kentaro Hara (@xharaken) June 13, 2021
次に骨と皮の間に包丁を入れて(Q-R-S)骨をそぎ取ります。△QRSをそぎ取ったあと(2枚目)、めくった部分をもとに戻せばそぎ取った部分は見えなくなります(3枚目)。同様の作業を背側と腹側の両方にやれば完成です!ちなみに、ウツボの骨は非常に硬いので鱧のような骨切りでは食べられません。 pic.twitter.com/Jri1hsUOzM
— Kentaro Hara (@xharaken) June 13, 2021
上手にできると表面の2箇所に包丁を入れるだけで骨抜きが完了します。理屈がわかればこの動画のウツボの骨抜きがばっちりわかると思います!見た目によらず、刺身でもタタキでも蒲焼でも上品で美味しいお魚なのでやってみる価値ありです😊https://t.co/9aQAYKs6HB
— Kentaro Hara (@xharaken) June 13, 2021
魚の塩焼を砂糖で作る話。塩焼って、薄塩を振って臭みを抜く→酒で洗う→本塩を振って焼くと思うんですが、薄塩の変わりにグラニュー糖を振ったらどうなるのか。砂糖は分子量が大きく身に浸透しないので味への影響を気にせずたっぷり振れて、浸透圧差で魚の水分を強力に抜くことができるという理屈。 pic.twitter.com/B6NJJwH07t
— Kentaro Hara (@xharaken) March 29, 2021
30分ほど置いておくと塩の方は表面が湿る程度なのに対して砂糖の方は魚の身が一回り縮むくらいに脱水される。これを酒で洗ったあと本塩を振って焼いて食べてみると、砂糖の方が断然美味しい!!臭みが完全に消えるだけじゃなく旨味がギュッと凝縮されてて魚の味が濃い。青魚におすすめの方法です🙂 pic.twitter.com/hdnQfes2Eg
— Kentaro Hara (@xharaken) March 29, 2021
キッチンでホースが使えないので諦めてた「津本式究極の血抜き」。100均の化粧水移替え用の注射器とドレッシング容器で似たことができると知ってやってみたらすごすぎた。香川産の天然真鯛と黒鯛、富山産の飛魚。鮮度は抜群、丸々と太って脂も乗ってそう、でも活〆はされてない。これの血を抜きます。 pic.twitter.com/AtTiWaDiBu
— Kentaro Hara (@xharaken) July 11, 2020
注射器で尾側からドレッシング容器でエラ側から大動脈に真水を注入して、圧迫して血液を皮目に追いやったあと(魚体がぱんぱんに張ります)、頭を下に立てかけておくと水に溶けた血液が落ちて抜けてくる、という原理のようです(ホースと器具を使った正しい方法は津本さんのYouTubeを見てください)。 pic.twitter.com/pdaf2Z6pFI
— Kentaro Hara (@xharaken) July 11, 2020
3枚に下ろした真鯛がこちら。毛細血管の血まで完全に抜けて透き通っている(普通は血がにじみます)。刺身で食べてみると雑味が完全に抜けて鯛の香りだけが残り、活〆真鯛と言われたらだまされる・・・すごすぎる。死後の魚に適用できる点も画期的だし日本の鮮魚流通の最先端技術になっていくのでは。 pic.twitter.com/99unqw9TFc
— Kentaro Hara (@xharaken) July 11, 2020
「蜂蜜を1滴入れてアサリの砂出しをするとコハク酸が数倍に増える」という話が本当なのか試してみた。蜂蜜1滴以外は同条件で砂出ししたアサリを用意して澄まし汁にして比べてみたら、蜂蜜入りが圧倒的に濃厚で出汁に深い奥行きがある!!🙂これ出荷段階で蜂蜜を垂らしておくといいのでは…笑 pic.twitter.com/aecsAmmhde
— Kentaro Hara (@xharaken) September 6, 2021
この話の出典は水産総合研究センターが2010年に出した論文で、ブドウ糖添加海水にアサリを24時間浸漬するとコハク酸が2.8倍増えたというものです。https://t.co/iDk04JAeIC
— Kentaro Hara (@xharaken) September 6, 2021
今年の春にウェザーニュースで蜂蜜バージョンが紹介されてます。https://t.co/UNjEwfEVVH
先日の補足実験として、アサリは何で砂抜きすると最も美味しくなるのか、豊洲で大粒のアサリを1kg買ってきて、3%の塩水+【何もなし、グラニュー糖、蜂蜜、片栗粉】の4パターンで比較してみた。結果は【片栗粉≒蜂蜜>砂糖>>何もなし】。片栗粉ならアレルギーや赤ちゃんへの心配がなくていいかもですね🙂 pic.twitter.com/xmcvK60xbY
— Kentaro Hara (@xharaken) September 26, 2021
ハマグリでも【何もなし vs. 片栗粉】をやってみました。千葉産の地ハマです。片栗粉を与えたほうが圧倒的に旨味が濃く奥行きがあり、ハマグリの場合には身のふっくらさ加減にも違いが出ました。売られている貝って栄養失調気味かのかも。。。(流通時に改善できそうですが添加物は許されないのかな) pic.twitter.com/AdKmUei0Th
— Kentaro Hara (@xharaken) September 26, 2021
2年間かけて日本全国のお米をふるさと納税で片っ端から取り寄せて食べ比べてみたので個人的ベストを発表します!😊同じ品種でも産地や農家で味が変わるので難しいですが、はぜ掛米、特別栽培米、農協を通していない農家直送品などを選んで、玄米を自家精米→羽釜で炊き上げた白ごはんで比較しました。
— Kentaro Hara (@xharaken) May 28, 2022
最後にスレッドをまとめます。
— Kentaro Hara (@xharaken) November 11, 2022
1. 日本のお米美味しすぎる!進化がすごい。
2. 旨味が強く深みのあるお米の個人的ベストは「つや姫」「ヒノヒカリ」「夢ごこち」。それぞれ旨味のベクトルが違います。
3. いろんな美味しいお米に気移りしても結局何十年も毎日食べ続けたいなと思うのは「ササニシキ」。
前回やったさつま芋の加熱温度の実験は、芋の芯温が80度に到達していなかったのではというコメントがあったので追加実験してみた。今回は紅あずまを使用(シルクスイートなどねっとり系だと長時間加熱で溶けてしまうので)、5mm角に切って1%の塩水に一晩浸水させてから加熱しました🍠 https://t.co/XFIsjQqTfA pic.twitter.com/xPUMTEQMjl
— Kentaro Hara (@xharaken) May 14, 2023
写真は1枚目から順に、
— Kentaro Hara (@xharaken) May 14, 2023
A:コンベクションオーブンで250度90分加熱
B:電気オーブンで250度90分加熱
C:低温調理器で80度を維持して3時間加熱
AとBを比較したのは、ぼくの料理経験上、輻射熱(コンベクションオーブン)の方が対流熱(電気オーブン)より甘みが出るように感じていたのでその検証です。
結果は歴然。甘みはA>B>C。メイラード反応による焦げや芋の美味しさなどを総合してもA>B>C。Aは黄金色に透き通ってスイーツとして成立する石焼き芋のお味。Cはふかし芋の味でほんのり甘い。AとBでここまで差が出たのにも驚きました。
— Kentaro Hara (@xharaken) May 14, 2023
各種論文が言うように科学的には「糊化したデンプンをβアミラーゼが酵素分解して生成される麦芽糖の量」は80度で加熱した場合に最大になるのかもしれませんが、人間が感じる食味という点では「輻射熱による高温長時間加熱」が圧倒的に美味しく石焼き芋が美味しい理由はこれ、というのが僕の結論です。
— Kentaro Hara (@xharaken) May 14, 2023
まとめ:お家で美味しい焼き芋を作りたかったら、難しいことを考えずに、オーブンの最大温度で長時間加熱せよ。電気オーブンよりコンベクションオーブンやトースターのほうが旨いぞ!!🍠
— Kentaro Hara (@xharaken) May 14, 2023
おせちを作るとき課題になるのが「冷えて3日経っても美味しい料理をどう作るか」で、煮染めの味がボケてしまうのをなんとかできないかと調べてたら、六雁さんの本に「煮汁に粉寒天を溶いておくと寒天の保水効果でしっとり感も味も維持できる」という技が書いてあったので実際にやってみた。 pic.twitter.com/0uqkqJHd4N
— Kentaro Hara (@xharaken) September 30, 2022
左が寒天なし、右が寒天あり。寒天以外は同条件にして冷蔵庫で4日間置いて比べてみた。結果としては、
— Kentaro Hara (@xharaken) September 30, 2022
見た目:寒天ありは4日経ってもツヤがある
味:蓮根や筍などの硬い食材では違いは微妙だが、里芋や人参など柔らかく味が染み込む食材は顕著に差が出て、寒天ありは味ぼけがなく確実に美味しい!
とうもろこしが美味しい季節です。ポタージュやすり流しにするとき、茹でたとうもろこしをミキサーにかけてもガラがいっぱい残る+なめらかにならない問題は、とうもろこしを冷凍庫で凍らせて細胞壁を破壊すると解決できるよ。家庭でもなめらかなピューレが作れます。(パコジェットの原理です) pic.twitter.com/1deM6qf6ch
— Kentaro Hara (@xharaken) July 4, 2023
野菜の茹で方の話。野菜を加熱していくと60度付近でいったん硬化が進み(硬化ペクチン)80度を超えると軟化が進む(軟化ペクチン)。この理屈を利用して、野菜を60度前後の低温で茹でると「火は通ってるのにシャキシャキ生食感の茹で野菜」を作り出せる。写真は60度で2分茹でたピーマンの鰹和え。 pic.twitter.com/h1mJbidtl5
— Kentaro Hara (@xharaken) June 25, 2023
スーパーで手に入る粗塩を極上の塩に変える方法。
— Kentaro Hara (@xharaken) July 26, 2022
1. 粗塩100gに対して小さじ2〜3の海水にがりを混ぜる
2. 焦げないように弱火でさらさらになるまで炒る(アジシオの瓶で保存すると便利)
この塩で吸い物を決めると出汁が負けるくらいの旨みが出るし、塩むすびが別物になりますよ。 pic.twitter.com/LniFVufS6F
塩の表示ルールで優良誤認を防ぐために「天然塩」「自然塩」という表記は禁止されていますが、「伯方の塩」「瀬戸のほんじお」「赤穂の天塩」などスーパーで手に入る「自然塩」は、イオン交換膜法などで純度の高い塩を精製したあと、自然な味に近づけるためににがり成分を添加して作られてるんですが、
— Kentaro Hara (@xharaken) July 26, 2022
塩化ナトリウム含有率を調べてみると、
— Kentaro Hara (@xharaken) July 26, 2022
精製塩・食卓塩:99%以上
赤穂の天塩:92%
瀬戸のほんじお:89%
伯方の塩:96%
海の精:86%
ぬちまーす:74%
雪塩:77%
「海の精」「ぬちまーす」「雪塩」などの本物の「自然塩」は塩化ナトリウムが少ない(=ミネラルを多く含んでいる)ので美味しいんですね。
だとすれば自分好みのにがりを加えればもっと旨み豊かな塩ができるという発想です。(こだわる人は「あくひき塩」という日本料理の技法があって、卵の殻と水を混ぜて塩をもんだあと煮詰めて殻にアクを吸着させ、さらに結晶になるまで煮詰めて乾燥させると雑味の取れたまろやかな極上の塩になります。) pic.twitter.com/Rsgc4y0fcs
— Kentaro Hara (@xharaken) July 26, 2022
金色に澄んだ潮汁を引く方法について。いろいろ試したけどこのやり方がいちばん上品で澄んだ出汁が取れると思う。今回は鱧でやってますが魚はなんでもいいです。品を求める潮汁に臭みは大敵なので、できるだけ活〆の鮮度が良いものを使うこと。手間はかかりますが使うのはアラなので原価は格安です。 pic.twitter.com/WwhM68uLmo
— Kentaro Hara (@xharaken) July 19, 2022
1. アラをきれいに掃除して、ヒレと皮は臭みが出るので外し、骨と頭だけを残す。
— Kentaro Hara (@xharaken) July 19, 2022
2. 立塩に15分ほど浸けて臭みを完全に抜く。
3. 薄塩を振りかけて冷蔵庫で一晩〜一日干すことで、熟成させて遊離アミノ酸を増やす。
4. グリルでこんがりするまで焼く。 pic.twitter.com/tkvTcPYVcj
5. 差し昆布をして90度で1時間かけて旨みを抽出する(骨酒の要領)。濁るのでぐつぐつさせない。
— Kentaro Hara (@xharaken) July 19, 2022
6. 茶漉しで濾して自然塩と酒とみりんで味を整える。
いろんな魚でやってみましたが、個人的ベストは天然真鯛、鱧、イトヨリ、アカヤガラ(あまり知られてないですが旨みの品格は白身魚でトップです)。 pic.twitter.com/vHccqARmit
干し椎茸を作ってて、1週間天日干ししてもどうも旨味が足りない。調べてみたらグアニル酸が生成されるには60度以上が必要らしく100度のオーブンで熱風乾燥→天日干ししたら美味しいのができた。…ってことはと思って100度のオーブンで熱風乾燥したきのこでパスタを作ったらめちゃ美味しいのができた😊 pic.twitter.com/bo8y3cW5y8
— Kentaro Hara (@xharaken) March 15, 2022
一年前に薩摩芋の天ぷらを絶品スイーツにするお話を書きましたが(170度をキープして50分間揚げる)、今年さらに進化させて、かりんとうな外側×黄金に透き通る内側に仕上げて芋の甘さを究極に引き出す方法を考えたので紹介します。https://t.co/NIrsFQMQbK pic.twitter.com/w3LWXcG2qu
— Kentaro Hara (@xharaken) October 6, 2022
1. まず薩摩芋の品種ですがベニアズマがいいです。ベニアズマは甘さ控えめでほくほく、シルクスイートや紅はるかの方が甘くてしっとりなイメージがありますが、それは常識的な火入れをした場合の話で、長時間火入れしたとき最もコクのある甘味が出るのはベニアズマだと思います。
— Kentaro Hara (@xharaken) October 6, 2022
2. 薩摩芋を5cmくらいに分厚く切って3%の塩水に一晩浸けます。(ちなみに焼き芋を作るときにもこれをやるだけで甘みとしっとりさがぐんと増します。)
— Kentaro Hara (@xharaken) October 6, 2022
3. 天ぷら衣を付けて170度で5分揚げます。薩摩芋には火は通ってませんが天ぷら衣が固まればOK。
4. アルミホイルに包んで250度のオーブンで1時間半火入れします。これで内側を黄金色に透き通らせます。
— Kentaro Hara (@xharaken) October 6, 2022
5. 185度まで油の温度を上げて3分揚げて外側をかりんとう化させてできあがり。
170度をキープして長時間転がし続けて揚げるより手間も失敗も少ないのでぜひお試しください! pic.twitter.com/akqLGTmzvg
かぼちゃはどこまで美味しくなれるのか。北海道産の栗かぼちゃを大きく切り分けて、じっくり熱を入れて甘味を出すために150度の低温をキープして、外側がカラメル化してかりんとうのようになるまで45分間転がして揚げた作品がこちら。絶品。 pic.twitter.com/LwCCs4Xd6Z
— Kentaro Hara (@xharaken) September 30, 2021
しっとりと柔らかく、それでいて一切のしわを寄らせない究極を追求して、毎年少しずつ改良して完成させた「究極の鏡面黒豆」のレシピを解説します!!ぴっかぴかの黒光りするお豆に自分の顔が映り込みます✨手間はかかりますが年に一度のおせちにぜひ作ってみてください〜😊 pic.twitter.com/VAWdId27p6
— Kentaro Hara (@xharaken) December 20, 2020
準備:必ず秋収穫の新豆を用意します(お金があれば大粒の丹波の黒豆を)。時間の経った豆は水分が抜けていてしわが寄るリスクが高いです。黒豆は色素のアントシアニンが鉄イオンと結合することで美しい黒色に染まります。確実なのは南部鉄器の鍋ですが、ない場合には鉄玉子か錆びた鉄釘を入れます。 pic.twitter.com/xyBdkkq6a0
— Kentaro Hara (@xharaken) December 20, 2020
お砂糖のこと:中ザラ糖を使うとすっきりした上品な甘さに仕上がります。最後に火を止める前に水飴を垂らすとツヤが出ます。(参考:賛否両論あると思いますが、砂糖の一部をトレハロースに変えるとさらにツヤと照りが美しく出ます。コンビニ弁当で使われるテクニックです。ぼくは使いません。) pic.twitter.com/Zx8IE8ww3F
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1日目夜:中ザラ糖200g+醤油大さじ1+粗塩小さじ1+重曹小さじ1/2+水1.5リットルを沸騰させて火を止めます。黒豆200gを《ぬるま湯で》さっと洗ってから《すぐに》入れて(このとき豆を水や空気に触れさせないように!しぼみます)、キッチンペーパーを五重に重ねて蓋をして一晩漬けておきます。 pic.twitter.com/43HbQ2NmMC
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2日目:極弱火で6時間くらい煮ます。豆がしぼむ理由は、1) 豆の温度が急激に下がる、2) 豆が空気に触れる、3) 煮汁が煮詰まることなので、この3つが起きないようにさえ気をつけて丁寧に煮ていけばうまくいくと思います。具体的には、「キッチンペーパーは完成するまで絶対にめくらない」、 pic.twitter.com/cAV85MKU06
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「煮汁はたっぷりを保ち減ってきたら《熱湯を》足す」を繰り返します。レシピによっては最後に煮詰めて〜とありますが、あれをやると浸透圧の関係で豆から水分が出るのでしぼみます。ひと粒取り出してふっくらしてたら、水飴を大さじ2入れて火を止め、一日置いて色と味を沈着させて3日目に完成です😀 pic.twitter.com/LBObQFoX3F
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キッチンペーパーをめくるのは完全に冷えた3日目ですよ〜。ぼくは鏡面黒豆ができるようになるまで7年かかりましたが、原理さえ理解できれば難しくないです。万が一しわが寄ったときは「しぼり豆」にしてごまかせばOK😊自然乾燥させたあとオーブンで乾かして粉糖をまぶせばお正月の上品な和菓子に🍡 pic.twitter.com/BxXc0MC76Z
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ホワイトデーのお返しを考えてて、輪違大根をハート型に切り出す試作品を作ってみた(所要5時間)。輪違大根の初出は天明5年(1785年)に刊行された「諸国名産大根料理秘伝抄」で、江戸時代の人たちもこんなこと楽しんでたのかと思うと感慨深い。国文研のサイトで読めます。https://t.co/qyQVbwee53 pic.twitter.com/uO2lJSbfnY
— Kentaro Hara (@xharaken) March 7, 2021